人相術辞典    【た】

『人相術辞典   天童観相塾より』       【た】

 

 

〔大海〕       (たいかい)。       口のこと。  口の一名称。  深く水気あるところから海に例えて云う。 

〔体神〕         (たいしん)。   身体から発する神のこと。  神とは力。

〔体中有明〕         (たいちゅうにめいある)。      『滞中に明あるは憂ひも喜びに変ず』     「只だこの黒白明暗の何れが多、 何れが少、  その力の強弱等は相人の判定困難とする所、 この主文だけにてはアイマイ也」     滞中の明には二通りある。    ①濁った色の下から明るい色がこみ上げてくる。    ②濁った色の中心から明るい色が広がるように見える。    何れも今は困難でも結果は良いと判断する。    『明中有滞』 の項を参照。   

〔体細身軽〕         (たいほそくみかるし)。      『体細く身軽きは、 那(な)んぞ片瓦の停留を見ん』    「体躯細々として身幹軽々しく見ゆる、   スガル型カマキリ型の人は、 瓦の半カケラも残らないものだと也。    スガルとは忰(せがれ)の語源」     貧弱な体と挙動が軽いのは貧相。  

〔太陽〕       (たいよう)。     「太陽は左眼」  女子は右目が太陽。

〔蛇眼〕         (だがん)。  蛇睛(だせい)。   ジャガンとも云う。     蛇のような眼。      性悪の相。      『嘆ずるに甚へたり、 人心の毒蛇に似たるは。   睛は紅、  円は露にして紅紗(こうしゃ)を帯ぶ。    大奸大許なること狼虎の如し。    此の目の人は子として爺を打つ』       (評訳)  「人として外観は善人の様だが心中に毒害の気あること、   蛇の様なのはツマリ蛇眼なのは嘆くに餘りがある。   眼睛には紅気があり、   円は目玉、  眼肉は露出形で白目に紅(あか)い更紗(さらさ)のやうな、  赤い砂をまいたやうな、  色を帯びてる。   そのやうなのは大奸(だいかん) 大詐(だいさ)であること狼虎(ろうこ)のやうである。    此の目のやうな人物は男女に限らず親不孝で、  時には子として親を打擲(ちょうちゃく・ぶっ叩く)することがある。    爺(や)の字は父のことであるが、  母にもその餘(余)の長上を含めていふ。    

『蛇目は睛円小にして黄なるを視る。    頭を掉(ふ)りて行歩し倉皇なる若(ごと)し。     出言挙措(きょそ)心には恨を懐く。   害物傷人は防ぐべからず』  (評訳) 「蛇目は黒目が小型で黄色味がある。    頭首をふりふり急(いそ)がしさうに行く、   容姿は何かあはてる事でもあるかのやう。    出言とは他との話しぶり、    挙措は仕うち態度ソレが悪くて心中には常に恨みを懐くことに成る。      他人に損害をかけることは防ぎようもない、   女は夫の害になっても関はず、  或は他に秘密を告げ、   内通し、  物を損することを平気でやってのける」   

『蛇目は円小にして多白、  睛黄にして下を視る、   瞼辺放大、   眼光流露(るろ)し或は赤線赤気あり、 行歩には頭を掉(ふる)ふ、  人と交わりては終りを善くすることなし、 必人を害する心あり』      (評訳)  円小は目玉が小型の方で白目が弘く多く見え、  その眼睛は黄色味がありまた下目づかいする傾向がある。   瞼辺は放大とは眼裂大なる結果眼光はこぼれるやうに流露する。   或は眼中に赤すじや赤い気が見え、  道を行く時には頭首をもたげ、   カマクビを振り立つるやうにして歩く、   そして人と交りて有終の美を全うするやうなことはない、     必人に損害させる心を持つのである」   その他、       『鶏 鼠 猴 蛇 は奚(いずく)んぞ憑(よ)るべけむ』    『馬面にして蛇睛は、 須らく横死に遭ふべし』    『有毒無毒は但(た)だ眼を看よ、    蛇眼の人は子として爺(おや)を打つ』    「眼裂大にしてカッと開き、上下前後の四辺に角ばりに近き風趣あり、  眼中に水分充ちギョロリヌラリとした感。  四方白、 又は四方白に地閣、  或は黒睛割合に小さく中央に坐(す)はり、  四方白又は三白に見ゆることあれども、 単なる三白四白とは異なる。   眼球は必らずしも正円とばかりではない、  時には眼裂一ぱいになるもあるが、  豁(かっ)とみひらく時は忽ち三白四白となることもある。  また眼球中に血紅色を含み、   時に赤目がちのこともある。  黒目のふち、  黒白の境に赤線又は赤気があり、 目の四隅にも赤気がある、  人により此の赤気なく却りて青気あることあり、    誤るべからず。   上眼瞼黒く太めに見え前方に出て、 白眼は露出の形勢あり、  黒目は大体正視ではあるが、  少し下向きなるもあり。    女の蛇眼であるのは多淫で邪奸、  男は破産を伴ふ、  男女ともに互いに刑剋がある。  蛇睛は眼裂長大、  眼形楕円小判型にして拡大、  睛に赤味あるか、  睛の周囲に赤目ざしあるか赤線あるか也、  白中には青味あり水淫性にして一見ギョロリといふ感あり、  勿論睛は露たり又た眼眥張目の趣あり、  それらの要件の内一二の缼欠はあるも蛇眼といふべし」。 

〔濁気〕       (だっき)。     濁る様子。   清らかの反対。   相の濁りは心の濁りに比例する。 

〔沢光〕       (たっこう)。    潤いのある明るい色。    

〔駝背田面〕         (だはいでんめん)。     『駝背』は ラクダの背のコブに譬えて言う。    「背の上部肩にかけて肉付きが良いこと。    猫背にはあらず。   駝背は男性的、  猫背は女性に多し」    『田面』は肉付き良いユッタリトした四角な顔型。   田字面(でんじめん)のこと。    『駝背田面、 南方の人、 富みて也(ま)た足る』   駝背と田面は南方の人の良い特徴であり、  運が強く福分がある。   

〔男子頭尖〕      (だんしのあたまとがる)。     『男子の頭尖るは、 終に器を成す無し』   「 (頭尖るとは) トンガリ頭のこと也、    大抵多少は後方に傾くが多し、  成人後も役に立たぬ人になる也。     後方に傾くと直立と何れがマシかといへば、  まだ後方になびく方いくらか可き也」    器を成す無しとは、   一人前にならないという意味。 

〔男児腰細〕        (だんじのこしほそき)。    『男児の腰細きは、  福財を主どり難し』    「腰は背の終わり臀尻の上、   脊椎(せきつい)の最下部腰椎の首(はじめ)約二寸巾にての胴回り也。  (腰の字は)月(にくつき)に要なるは一身上下の中心にして最も緊要なること、 扇の要(かなめ)に比するが故なり、   男子と雖も細きは財力なし、  さればとて余りに太きはガッチリやにして賎劣なり」

〔男女宮〕       (だんじょきゅう)。      『男女は位を両眼の下に居す。   名づけて涙堂と曰ふ。  三陰三陽の平満なるは、  児孫と福禄栄昌たり』    『左は男、 右は女。  女子は之に反す』   目の下、 臥蚕(がさん)と涙堂(るいどう)を合わせて男女宮と言う。  男児女児のことと、  男女恋愛のことが現れる。  三陰三陽は両眼のこと。   肉付き良く色が明るければ良し、  枯れて陥るのは子供運が悪い。  

〔単眼〕        (たんがん)。  眼波なきヒトカワ目のこと也、    モンゴリア族は二皮目のものにて、  日本人は二皮目多く欧米にての分類は、 モンゴリア族に配属されあり。     然れども南方人及びその他の混血少なからず、  単眼もまた従って少なからず。   金較剪(きんこうせん・相書)には単眼は卑しと、 卑眼と単眼とを同格に扱へる如し。   また単眼は刑剋の相又は子を剋すなどあり」